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大阪市住之江区平林南1-1-8 大阪木材会館2F

2019年7月19日

SDGs・ESGが世界標準

産官ワークショップ 大阪港木材倉庫会議室で開催

林野庁近中局・早生植林材研究会・平林会 共催

 

 

産官共催ワークショップ「SDGsに貢献する木材産業」が7月19日(金)午後1時30分より住之江区平林の大阪港木材倉庫2階大会議室において90名弱の参加者を見て開催された。主催は林野庁近畿中国森林管理局・(公社)日本木材加工技術協会関西支部早生植林材研究会・(一社)平林会。木の伝道師として活躍する東京大学井上雅文教授が講師となって「SDGs時代の木材マーケティング戦略」を中心に世界の最新情報をふんだんに加味して分かりやすく講演、小憩後、センダン植林とその後の検証結果・将来性について早生植林材研究会を代表して京都大学の村田功二講師が講演した。


平林会

会場内は超満席です


京都府大の宮藤久士副学長が司会を担当、冒頭、主催者の一人高野浩文近中局長が早生広葉樹センダンに林野庁が着目した経緯と荒廃農地への植樹トライアルに言及して挨拶を結び、井上教授にマイクを譲った。
「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」と訳され、2015年の国連サミットで193加盟国が全会一致で採択した国際目標。17の目標と169のターゲットがあり、国や多くの企業が賛同し2025年の「大阪・関西万博」のサブテーマ「持続可能な社会・経済システム」とも連動する。


平林会

東大の井上教授


まず井上教授は「SDGs」の概念は余り難しく考える必要はないが、世界標準となって今後の企業活動に大きな影響を与えると話した。近江商人の「三方良し」の現代版だと捉えて欲しい。「売り手良し」に「労働慣行=従業員の働き方」を加味し、「世間良し」に「地球環境」を加えて考えると分かりやすい。また産業界においては「SDGs」を達成するための方策の一つとして「ESG投資」が注目されている。世界中の機関投資家は従来の財務情報だけで企業を判断することなく「ESG」を重視した投資に向かっているという。「ESG」とは「環境・Environment」「社会・Social」「ガバナンス・Governance」のこと。従来の財務情報は現在のデータであり10年、20年先のことを語っていない。投資家は将来の姿を知りたい。井上先生はガソリンスタンドを例にあげ「世界の趨勢は電気自動車に向かっており20年先にはガソリン自動車はなくなる可能性が高い。従ってガソリンスタンド会社の将来は暗い。例え新しい油田が発見されても化石燃料を多用することはパリ協定が示すように地球環境にそぐわない。現在の延長線上に将来はなく、企業は先を見通して環境や社会に対して持続可能性のある事業を行う必要がある。それを実行する企業が投資家の対象となる。木材業界も例外ではない。多くの上場企業がESGの観点から統合報告書を整理しだしている」と話した。
「ESG」の投資残高は2018年時点で合計3375兆円。EU1548兆円、米国1319兆円、カナダ1868兆円、日本も239兆円に達し、年々増加している。また新しい概念である「CSV(Creating Shared Value)」という考え方は「共有価値の創造」と訳され、「企業利益」「経済発展」「社会貢献」「環境貢献」を包含し「三方良し」の精神につながる。
「なぜ木材なの?」「なぜ国産材なの?」―木材需要拡大にも「大義=SDGs=が必要だ」と井上先生。某ハウスメーカーが外材から国産材に変更した際のデータでは、国産材2.1万m3使用して2213万円の仕入れ価格減、経済効果は12億円、GDPは5.9億円アップ、雇用は86人増加している。「これこそ、企業良し・社会環境良し・労働良し、三方良しである。きちんと対応し、きちんと発信すること。
「SDGs」の17の目標は別に全て覚えなくても良い。17は納まりが悪く私は18番目の目標を提案したい。それは「もっと木を使おう」。木材を使うことが「SDGs」の考え方に合致し、木材人一人ひとりがその事実を認識して各方面に発信して欲しい。「SDGs」は法律ではないが今や義務であり世界標準である。木材人(特に大阪の)はもっと強く意識して欲しい。そして木材業界が一丸となって大阪万博を成功させてほしい、と述べ講演を結んだ。


センダン植林の過去・現在・未来

小憩後は京都大学の村田功二講師が「センダン植林の過去・現在・未来」と題して講演した。
「芽かき手法」を駆使した熊本県発祥の「センダン」を京都大学・京都府大・早生植林材研究会・(一社)平林会らが中心となって大阪住之江区の「平林ウッディパーク」に植林して5年経過した。その後「早生広葉樹センダン」は林野庁の林業白書にも記されて全国的な広がりを見せ、兵庫県宍粟市と養父市の耕作放棄地(荒廃農地)でセンダンの試験植林が行われた。加えて、林野庁の平成28年森林・林業基本法には荒廃農地への早生樹種等の実証的な植栽が記載され、国家的な事業として「センダン植林」がより一層注目されてきた。


平林会

京大の村田准教授


昨年9月に開かれた「センダンシンポ」ではセンダン材の工業的利用の検証結果がいろんなジャンル(パーティクルボード・MDF・合板・LVL)から報告され「概ね良好」の評価を得ている。採算性については少ないモデルながら「補助金なしでも赤字にはならならず、約20年の短伐期施業が大きなメリットだ」と報告。産業用植林に向けて研究会がターゲットとする「荒廃農地」は兵庫県宍粟市・養父市の事例のみの報告となった。「センダンを中心とした早生樹林業は、農林業を活性化し木材の利活用によって利益が地域に還元される。さらに雇用の創出にも寄与する。持続可能な開発目標『SDGs』の理念と同一線上にある」と村田講師は話した。
質疑応答では「国産材の輸出事情」「世界の木材・住宅事情、特に中国・インド・ネパール」「林業の農業化」「センダンの価格設定」「センダン植林は可能ですか?苗の提供は?」等々の質問が相次ぎ、井上・村田両講師が丁寧に対応していた。
最後に平林会の村上高兒理事長が「ハイレベル、まことにアカデミックで有意義なワークショップでした」と述べて閉会の言葉とし、参加者は「平林ウッディパーク」に向かい、大きく育った5年半生・4年半生のセンダン20本を見学した。


平林会

平林ウッディパークのセンダン見学