日本木材加工技術協会関西支部早生植林材研究会(代表・横尾国治氏)が中心となって2年前から林野庁近中局・京都大学・京都府立大学・平林会等が取り組んでいる早生広葉樹「センダン」が4月29日午後、兵庫県宍粟市の耕作放棄地で植林された。耕作放棄地での植林は前例がないという。主催は早生樹活用研究会(代表・紙川敏明氏、宍粟市)。「宍粟市ふるさとの森づくり」と銘打った植樹には、地元はもちろん福元晶三宍粟市市長や大手メディアを含む多数の関係者が参集、65本のセンダンを手植えした。平林会からは横尾国治代表世話人(当会常務理事)・有馬啓子理事と事務局の島崎が参加した。
昨年4月、宍粟市の「フォレストステーション波賀」に200本のセンダンを植林したことが呼び水となったようだ。「森から始まる宍粟創生。センダンで森林・林業、地域の発展につなげ、ここ宍粟からセンダンを全国に発信したい」(福元市長及び主催者)と地元の夢は膨らんでいる。
「センダン」植林は熊本が発祥の地、ところが先日の大地震。予定していた苗木150本が熊本から届かない。急遽、早生植林材研究会の面々が奔走、なんとか65本の苗木をかき集め、当日を迎えた。
今回の植林の最大の意義は「耕作放棄地」への植林。農林水産省とは名ばかりで農業と林業は似て非なるもの。省庁の垣根は高く農地に木を植えるには法律がネックとなる。その壁を乗り越えた宍粟市の市民グループの取り組みは画期的なもの。30年間放置されていた耕作放棄地はまるで荒野の如し。市民グループの活躍で当日までに雑木を刈り取り地拵えを完了、美しい棚田が出現した。「短期的な林業経営で里山を整備し、次世代に繋げて若者の定住を目指したい」と主催者は語る。
早生材研究会の横尾代表は「センダン植林は10年~15年で伐期を迎える、あくまでも産業用の植林です。研究会の当初目標は年間100万㎥、それ以下なら産業用にならない。スギ・ヒノキの再造林地にも植林するがそれだけでは足らない。私たちは全国にひろがっている耕作放棄地をターゲットにしています。このプロジェクトは従来とは逆の流れ、消費者(川下)が望む木を生産者(川上)に栽培してもらう、それも短期間で」とセンダン植林にかける大望を語った。
30年間放置されていた耕作放棄地、実は美しい棚田だったのです
横尾さんと有馬さん(右側)が植樹中